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ディフュージャーフローテスト法の問題点

定性的試験法のバブルポイントテストに対して、定量的試験法がディフュージョンフローテストである。図2の赤色破線内に示すように、バブルポイント圧力に達しない、メーカー指定の圧力で一定のガス圧を保持した時の、フィルター2次側からの拡散ガス流量を定量して、管理基準値と比較判断する手法である。この手法は、バブルポイントテスト法のように判断が困難でないという点において優れた手法である。完全性試験機のディフュージョンフロー測定値が正しいか否かの検証も人間が目視で容易に行うことが可能である。

図2

  • 但、この理論もフィルターカートリッジの長さが10インチ×1本の時にのみ正当に評価できる試験法である。残念ながら、20インチ以上の長さのカートリッジ及び、マルチタイプの濾過システムには適用できない。ディフュージョンフロー試験の管理基準値は最大値である。よって図3,4に示すように、フィルターメーカーは管理基準値以下のカートリッジをマーケットに供給しなければならない。我々の経験値によると、その値は管理基準である最大ディフュージョン量の概ね60%程度のカートリッジが最も多く供給されている。しかし図5に示すように、総合的には合格基準内であっても、単位的には不合格の部分を正しく評価できない場合がある。この点がディフュージョンフローテスト法の理論的限界点である。
  • 実際に完全試験を行う場合、一定の一時側ガス圧(△P)を保持する事が必要がある。さもないと、基礎データであるメーカーでのバクテリアチャレンジテストとの相関関係が希薄なものとなってしまう。
ディフュージャーフローテスト法の問題点

図3通常の完全な合格例(10インチカートリッジ使用ライン)

通常の完全な合格例(10インチカートリッジ使用ライン)

図4マルチ濾過システムでの完全な合格例
(20インチ以上のカートリッジ使用ライン)20インチのカートリッジの場合 合格例

通常の完全な合格例(10インチカートリッジ使用ライン)

総合的に合格であり、上下各10インチカートリッジも基準値以内のディフュージョン量で合格である

図5マルチ濾過システムでの、不合格なのに合格する例
(20インチ以上のカートリッジ使用ライン)20インチのカートリッジの場合  不合格例

図5マルチ濾過システムでの、不合格なのに合格する例(20インチ以上のカートリッジ使用ライン)20インチのカートリッジの場合  不合格例

総合的に合格であるが、下部カートリッジは基準値以上のディフュージョン量で不合格である!
マルチ濾過システムでは、定量的試験法であるディフュージョンフローテストとピンホール検出機能を有したバブルポイントテストの2法での完全性試験を行わなければならない。